第77回:退職金制度の見直し

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第77回:退職金制度の見直し

2016年4月22日

 前回、「定年退職」についてお話をしましたが、会社にとって定年退職時に注意しておかないといけない事項があります。それは「退職金制度」です。


 退職金制度のない会社であれば問題ないのですが、運送業の場合、社長に退職金制度はありますかと聞いてみると、「あるよ」と答える会社は多くあります。ところが、「いつ頃、いくらの退職金が発生しますか。金額の用意はしていますか」と聞いてみると、答えに詰まってしまう社長が多くいらっしゃるのです。


 確かに退職金を支払う頻度は少ないかもしれません。そのため、発生した時に計算してその時に用意する会社もあります。ただ、退職金の額は小さくありません。数百万円、景気の良かった頃の退職金制度だと1000万円を超えることもあるのです。その時に用意するのでは難しいのではないでしょうか。


 景気が右肩上がり、物価の上昇が続いていた高度成長期に退職金制度を導入して以来、いまだにそのままの形で続けている会社は少なくありません。会社にとって退職金は、数十年後の未来に対して債務を負うというリスクがあります。知らないうちに退職金制度が会社の経営を圧迫していくかもしれないのです。そこで退職金制度の変更、もしくは廃止することも視野に入れて、見直すことも選択肢の一つとなってきます。


 誤解のないようにお伝えすると、退職金制度の変更・廃止が、必ずしも消極的な考え方ではないということです。消極的な考え方とは、会社の経営状況が悪い、労働条件が悪化した、人件費を抑制したい、そのために「仕方がないから」退職金制度を廃止するという考え方です。そうではなく、会社を取り巻く世の中の価値観が変化しているなかで、退職金制度についての考え方も変えていくということなのです。


 以前は、「社員の老後の資金まで会社が運用して面倒をみるのが当然だ」という考え方がありました。しかし今は、「社員が自らの責任で自らの老後の資金を運用するもの」という考え方に変わってきています。退職金に充てる原資を賃金や賞与と一緒に支給し、その運用は社員本人に任せる制度を導入している会社も増えてきました。この考え方は、退職金に対する選択肢の一つとして検討してもよいのではないでしょうか。


 次回は、退職金制度のメリット、デメリット、実際変更する際の注意点について具体的にお話していきます。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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