第76回:「定年」についての正しい知識

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第76回:「定年」についての正しい知識

2016年4月 8日

 全ト協の直近の調べでは、運送業に従事している社員の平均年齢は43.6歳との発表がありました。こうして数字で見ると、他の業界に比べて平均年齢は高く、若手のドライバーが不足しており、年配のベテランドライバーに頼らざるを得ない現状が見えてきます。年配の社員が多いということは定年を迎える社員も多く、「定年」について正しい知識と整備が必要となります。


 定年およびその後の再雇用に関して、高年齢者等雇用安定法では次のいずれかを会社が選択するように定められています。


 (1)65歳までの定年の引き上げ(2)希望者を対象とした65歳までの継続雇用制度の導入(3)定年の定めの廃止


 この中で現実的に多いのは(2)の継続雇用制度を導入している会社になります。


 みなさんの中で誤解されている方もいらっしゃるかも知れませんが、(2)の継続雇用制度を導入している会社の定年年齢は60歳でも構いません。あくまで65歳まで希望者全員を再雇用する仕組みの導入が義務付けられているということであり、これは定年を65歳に引き上げることとはまったく違う意味合いになります。なぜなら、60歳でいったん、正社員としての契約は解消されますので、その時点で契約関係が終了し、次の契約を新たに結び直すからです。


 つまり、定年後の再雇用契約は、新たな雇用契約ですので労働条件の新たな設定が可能となります。再雇用契約で賃金を大幅に引き下げる契約を結ぶことも可能です。


 賃金を引き下げる一方で、日本年金機構から受け取る「在職老齢年金」の受給額が増えたり、ハローワークから支給される「高年齢者雇用継続給付金」の受給が可能となるため、社員からすれば、会社からもらえる給与は30~40%ほど落ち込んだとしても前述の公的保険制度があるため、収入の目減りはそれほどありません。


 公的保険制度とうまく組み合わせて、社員の細かな給与設計が求められることになります。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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