第74回:懲罰処分の効果的な定め方

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第74回:懲罰処分の効果的な定め方

2016年3月11日

 前回、懲戒解雇についてお話しましたが、懲戒処分の種類には解雇以外にも様々なものがあります。これらの懲戒処分も解雇と同様、「どのような問題行動が懲戒処分の対象となるか」を懲戒事由として就業規則に明記する必要があります。今回は、就業規則に懲戒処分を規定する際の具体的なポイントについてお話します。


 まず、懲戒処分の種類は主に(1)戒告(2)けん責(3)減給(4)出勤停止(5)降格降職(6)諭旨退職(7)懲戒解雇の七つが挙げられます。戒告から徐々に処分が重くなり、前回お話しました懲戒解雇が最も重い処分となります。会社は問題行動の程度を判断して規定にのっとり、いずれかの懲戒処分を下していきます。


 規定を設ける際にポイントとなるのが、懲戒の種類ごとに処分の対象となる懲戒事由を記載してはいけないということです。例えば、「無断欠勤は戒告に処する」と規定すると、一人の社員が何回無断欠勤をしても戒告しかできないことになってしまいます。会社の心情としては、何回も無断欠勤する社員には、より重い懲戒処分を下したいと考えるでしょう。しかし、この規定の定め方ではこれ以上の重い懲戒処分を行おうとしても実施することが出来ないのです。


 この事態を避けるために会社の裁量で、見合った懲戒処分ができるように懲戒の種類をグループにまとめます。戒告から降格降職までの処分が比較的軽いグループと、諭旨退職・懲戒解雇の処分が重いグループに分けて、グループごとに懲戒事由を列記します。こうすれば、グループ内で会社が柔軟に処分を決めることができるので、「無断欠勤が1、2回だったら戒告だが、3回以上続いたら減給にする」などという柔軟な対応も可能になります。


 このように、会社の裁量でどの懲戒処分を行うか選択出来るように規定します。就業規則を作成する際は、懲戒処分の規定に限らず、他の項目についても会社に裁量権を持たせるように記載することが重要となります。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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