第73回:解雇無効についての訴訟

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第73回:解雇無効についての訴訟

2016年2月25日

 前回、解雇時の最低限のルールについてお話しましたが、このルールを守って解雇を行った場合でも、不当解雇として解雇無効について訴訟になることがあります。


 解雇無効について訴訟になった場合、まず争点となるのが、就業規則を整備し、就業規則に記載された解雇事由に基づき、解雇手続きが行われているかということです。また、解雇を回避するために、指導教育、配置転換などを行ったかも大切なことになります。会社はこれらの事実を示していき、解雇を行ったことが客観的で合理的な理由があったことを立証していきます。


 また、懲戒解雇無効の訴訟になると、従業員側は就業規則に懲戒解雇の要件が記載されているかどうかはもちろんのこと、記載されている場合でも重箱の隅をつつくように文の一語一句を調べ上げて指摘してきます。


 実際にあった例ですが、ある会社では、会社のお金を使い込んだ従業員に懲戒解雇を言い渡したところ、従業員側はその会社の懲戒解雇事由に規定してあった「会社に『著しい』損害を与えた場合」の文を逆手に取り、「会社の営業利益10億円に対して、使い込んだ額1000万円はわずか1%であり『著しい』損害とは言えない」と反論しました。そして、裁判ではその主張が受け入れられて懲戒解雇無効の判決が下りました。わずかな意味の違いから、懲戒解雇事由に当てはまらないとみなされたのです。


 この判例のように、懲戒解雇事由の文面と合致しているかどうかのほかに、懲戒解雇事由に相当する行為をしたと立証できるかどうかも訴訟の際には争点になります。


 このようなことから、実は懲戒解雇は現実的には難しい処分なのです。とは言え、懲戒事由を記載しないでいると、そもそも処分の対象とはなりません。また、従業員が処分に値するような行為を抑止する効果もあるので、就業規則には必ず懲戒解雇事由を定めましょう。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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