第7回:震災後の人事労務対策と助成金

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第7回:震災後の人事労務対策と助成金

2013年8月15日

 3月11日の東日本大震災から2か月以上経過しました。震災直後は、人事労務の相談や、財務などの経営相談も増えましたが、最近は落ち着きを取り戻しつつあります。しかし個人的には、夏場に向けた対策が運輸業者の皆様には必要だと感じております。今回はその対策についてお話しします。

 震災直後、多くの企業で売り上げが激減し、ある経営者から「社員を解雇したい」とのご相談を頂き、私から「突然の解雇はリスクが高い」と申し上げました。一般的に人件費に手をつける場合の手順として、賞与カット、人件費削減、早期退職募集、退職勧奨、指名解雇の流れで行われないと、大きなリスクを抱えます。手順を無視して解雇した場合、不当解雇として解雇の無効や、裁判費用、慰謝料の請求など、逆に費用負担の増加に発展しかねません。


 そこで検討したいのは、社員さんの休業(ワークシェアリング)です。休業とは、会社に出社させず、自宅待機させることです。この場合、労働基準法第26条で60%の休業補償をしなければなりません。逆に60%の賃金を補償している限り、不要なリスクを抱える心配がないのです。しかも、休業させることで取得できる助成金があるので、そちらを活用しましょう。

 皆さんは雇用調整助成金をご存知でしょうか。この助成金は、社員さんを1日休業させた場合、1日7505円を限度に、休業補償の90%を補填してくれます。極端な事例ですが、社員30人、平均賃金が30万円だと、月の賃金が900万円になります。900万円の60%、540万円の休業補償を支払わなければなりませんが、そのうち486万円が助成金で補填され、54万円の負担で社員全員を合法的に休業させることが可能になります。

 7、8月は荷主さんが、電力事情により業務量の減少も予想されますので、今から自社の対策を整えておきましょう。次回、助成金取得の手順についてお伝えします。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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