第68回:賞与の支給について

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第68回:賞与の支給について

2015年12月17日

 日本が経済成長を続けていた一昔前は、多くの会社が夏と冬の年2回賞与を支払っていました。しかし、近年では業績悪化により賞与を支払えない会社も多くあります。そもそも賞与は、毎期支払わないといけないものなのでしょうか。答えは「NO」です。賞与を支給するかどうかは会社が自由に決めることができるのです。賞与を全く支給しない会社があっても何ら問題ありません。ただし、就業規則に必ず賞与が支給される旨が記載されていたり、賞与の支払いが慣例となっていたりする場合は支払いの義務が生じます。このような会社では、業績悪化により賞与を支給できない場合、社員とのトラブルの元になってしまいます。このようなトラブルを避けるためにも、会社の現状を踏まえた就業規則の改定を行うことをお勧めします。


 では、就業規則に賞与の支給について記載するとき、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。


 (1)支給対象者を明確に記載する。支給対象者は、会社が自由に決定してかまいません。会社の利益に大きく貢献している正社員には支給し、契約社員には支給しないといった規定も可能です。支給する社員の対象が決まっているのであれば必ず記載しましょう。


 (2)「勤続6か月に満たない者は除く」「当該支給日に在籍する者に限る」といった在籍要件も必ず記載しましょう。この文言がないと、入社したばかりの新入社員や、退職する社員から賞与の支払いを求められた場合、支給する必要があります。


 (3)賞与を支給しない可能性を記載する。賞与は本来、会社の利益があがっているときに報奨金のような位置づけで支給するものです。そのため、会社の業績が落ち込んでいるときは支給しなくてもよい、あるいは社員個人ごとに業務貢献度により支給の有無を決定できるような規定にしましょう。


 まずは、会社の現状の就業規則を確認してみてください。会社の状況に関係なく賞与が必ず支給されるような旨、記載されていませんか。このように記載されている就業規則であれば、見直しを検討してみてはいかがでしょうか。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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