第66回:時給単価の算出方法

連載トップへ

第66回:時給単価の算出方法

2015年11月19日

 給与の支払い方は月給制、日給制など各会社で様々な方法があり、その会社の特徴が反映されています。前回お伝えしましたように、最低賃金法を順守するためにも社員の時給がいくらなのかを正確に確認する必要があります。しかし、この時給の算出方法を間違えている会社が実に多くあるのです。


 時給単価を計算する際に用いる計算式は、まず日給制である場合、分子が日給金額、分母が1日の所定労働時間で簡単に算出できます。次に月給制である場合、分子が月給金額、分母が「月平均所定労働時間」となります。この「月平均所定労働時間」の計算方法を誤り、結果的に時給単価も間違ってしまう会社が非常に多くあります。では、どのように「月平均所定労働時間」は算出されるのでしょうか。


 就業規則には必ず1日の所定労働時間が規定されます。例えば9時から18時まで、途中で休憩が1時間ある会社だと、1日8時間労働となります。次にチェックするのは休日です。仮に年間休日が105日の場合、1年365日から休日の105日を差し引き、労働日数が260日となります。それに1日8時間という労働時間を掛けると、この会社は労働者との間で1年間2080時間の労働契約を結んでいることになります。これを12で割ると1か月当たりの「月平均所定労働時間」173時間が算出されます。


 実際は、月給制と日給制両方を採り入れているという運送会社も多いのではないでしょうか。例えば、ある運送会社の給与は、月によって支払われる基本給10万円、このほかに1日運転すると5000円の「乗務手当」があるとします。この場合は、基本給10万円÷173時間と日給5000円÷8時間の合計1203円が時給単価となります。


 時給単価の計算を誤ってしまうと最低賃金法違反の可能性が出てくるばかりでなく、残業代の未払い問題にもつながりかねません。時給単価は運賃を決める際にも重要な要素となりますから、くれぐれも誤った方法で計算しないように注意してください。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

GoogleAD