第65回:最低賃金について

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第65回:最低賃金について

2015年11月 5日

 今年も10月に最低賃金の改定が行われ、全国平均で15円ほど上昇しました。最低賃金については過去5年間で100円以上も上昇している地域もあり、運賃が下がる傾向にある中でのこの上昇は、運送業者にとって非常に負担の大きいものとなっているはずです。


 では、最低賃金が全国で一番高い地域を皆様はご存じでしょうか? 答えは「東京都」ではなく、意外にも「高知県」なのです。厚労省が発表した平成25年度の最低賃金一覧だけを見ると、東京都が869円で最高値を付けているように見えます。しかし、これは「地域別」の最低賃金に限られたことです。


 あまり知られていませんが、最低賃金には「地域別」「産業別」の二種類が存在しており、このうち皆様に馴染みが深いのが「地域別」というわけです。一方の「産業別」は、特定地域の特定の産業についてのみ適用される最低賃金のことで、これは地域別の最低賃金よりも優先されます。そして、この産業別最低賃金を調べてみると、高知県のみが全国で唯一「一般貨物自動車運送業」「道路貨物運送業」を特定しており、金額は一般貨物自動車運送業で910円、道路貨物運送業で710円となっています。


 つまり、高知県で一般自動車貨物運送業を営んでいる場合、そこで働く人たちには910円が最低賃金として適用されるということになり、この金額は東京都の地域別最低賃金である869円を大きく上回っています。


 運送業に限られたことですが、これを見れば高知県が全国で最も最低賃金が高い理由です。ちなみに910円という金額は、地域別、産業別で見ても全国で最も高い最低賃金でもあります。


 高知県に事業所を持つ会社は、再度、各社員の時間給をチェックすると同時に、取扱貨物、積載量などにより適用除外の要件もあるので、労働局のホームページなどを確認することをお奨めします。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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