第63回:不就労時の控除金額

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第63回:不就労時の控除金額

2015年10月 8日

 給与の支払い方について「月給制」という言葉がよく使われます。この「月給制」ですが、さらに細かく見ると「完全月給制」「月給日給制」に区分することができます。


 最近は採用する企業が少なくなりましたが、「完全月給制」を採用している企業の場合、月単位で給与額が決定しているため、不就労があっても、その分について賃金を支払う必要があります。これに対して「月給日給制」では、不就労があった場合、その分の賃金を控除できます。日本の労働契約の中では、社員の労務提供に対して給与を支払う仕組みになっています。逆に言うと、労務提供がない時間に対して給与を支払うことまでは求められていません。



 完全月給制と月給日給制のどちらが正しいということはありませんが、ルールと運用が曖昧になっていることも考えられますので、長い間就業規則を見直したことがない会社では、この機会に就業規則上の規定がどのようになっているか確認することをお薦めします。


 また、月給日給制を採用している会社から、欠勤・遅刻した場合に金額はいくら控除して良いのか? という質問をよく受けます。これは、就業規則にどのように定められているかによって、控除する金額が変わるのですが、実務的には就業規則に基本給と手当の合算額を当該月の所定労働時間、所定労働日数で割り、1時間もしくは1日分を算出して控除できるよう定めておくのが一般的です。


 また、遅刻の場合は「どのような場合が遅刻で控除の対象となるのか?」ということもポイントとなります。これについては定義の問題になりますが、トラブルになりやすい部分であります。例えば、公共交通機関が遅れた場合、いかなる理由でも遅刻として賃金控除を行う会社もあれば、控除しないという会社もあります。


 当たり前のように取り扱ってきた遅刻の定義であっても、規程にきちんと定義されているか、今一度確認されてはいかがでしょうか。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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