第60回:残業代問題を解決する定額残業制

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第60回:残業代問題を解決する定額残業制

2015年8月27日

 運送会社の経営者にお話を聞くと、残業代の支払いについて問題を抱えているケースが多く見受けられます。それは、社員にある程度働いてもらわなければ利益が上がらず、かといって払える賃金には限りがあるといったジレンマを感じているからです。


 経営者の中には、労働者と契約を結ぶ時に月給30万円としたなら、その給与には残業代も全部含んで30万円と考えている方も多くいらっしゃいます。しかし、法律通りにいけば、経営者の考えとは裏腹に残業代を別途払わなければなりません。残業代は法律上2年間遡って請求することが出来るので、経営者の皆さんが把握していない何百万という未払い賃金が、ある時点で急に表面化する可能性があるのです。


 では、現在支払っている賃金の範囲で、残業代問題を解決できる方法はないのでしょうか。実は、残業代問題を解決する効果的な対策が一つあります。それは、毎月一定額を残業代としてあらかじめ支払う『定額残業制』を活用するということです。一般的に残業が発生した場合、1.25の割り増しを掛けて残業代を別途支払わなければなりません。しかし、この定額残業制では毎月一定の残業が見込まれることを想定し、一定時間分の残業代をあらかじめ給与に組み込んで支払う制度なのです。


 例えば、定額残業制であらかじめ30時間分の残業代を支払えば、30時間までは残業をしても追加で残業代を支払わなくても問題なく、仮に残業時間が50時間になったら20時間分の差額の残業代を支払えばいいのです。逆に、30時間と設定しても20時間しか残業しなかった場合、10時間分の残業代を減額しないのも重要なポイントになります。


 この定額残業制の導入に際しては、労働者の同意が必要であることなど形式上、運用上で注意する点が多くあります。次回から数回にわたって、この定額残業制の運用方法について詳しくご説明していきます。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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