第6回:アルコール検査について

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第6回:アルコール検査について

2013年8月 1日

 この春から物流業界にも、国土交通省の指導の下、アルコールチェックが導入されます。経営者の皆様も、どの機種を導入しようか迷っていたのではないでしょうか。多くの経営者からは、これでひと安心という声を聞きます。果たして本当にひと安心していいのか、今回はアルコールチェックを人事・労務の側面から検証します。

 先日、弊社のお客様から「ドライバーがアルコールチェックを拒否したので乗車させませんでしたが、何か問題はあるでしょうか」とのお問い合わせを頂ました。私は「本人さんからアルコールチェックの同意は取りましたか?」と確認したところ、「取っていない」とのこと。では、「賃金は支払うのですか?」と問えば、「支払うつもりはない」との回答でした。


 これは大いに問題ありです。なぜなら、今回の国土交通省の指導は誰に対して行われたのでしょうか。それは、事業主に対してです。ここが大事なのです。ドライバー自身に指導しているのではないのです。

 ドライバーに対してアルコールチェックをしないことは行政罰の対象となりますが、だからと言って、アルコールチェックを拒否したから賃金を支払わないというのでは民事上の問題となります。行政からの指導でも、拒否したドライバーの賃金に関してまで言及していません。ちなみに賃金トラブルにまで発展したら、その日の給与は全額、または就業規則で会社都合の賃金規定があった場合、それでも60%は支払わなければならないでしょう。

 今回のアルコールチェックの機会は、私は会社と社員の労働契約を見直すチャンスだと思います。ポイントは、出来たら労働契約全般の改定まで踏み込めればベストですが、最低でも誓約書または同意書を取り付ける必要はあります。会社側でも就業規則を改定し、アルコールチェックの実施や処分について記載しましょう。次回は随時検査についてお話しします。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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