第56回:休憩時間の適正管理

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第56回:休憩時間の適正管理

2015年7月 2日

 ドライバーの運転日報を見ると、休憩時間に昼食時間の1時間のみ記載されていることが多くあります。例えば、早朝に出発し拘束時間は10時間を超えているのに、休憩時間は本当に1時間しかなかったのでしょうか。


 詳しく話を聞くと、1時間の休憩以外に実際には朝食、夕食の時間や車を止めて短く休憩している時間などがあるようです。これは、ドライバー本人が長時間働くため適切に取っている休憩時間であり、健康管理面から言えば必要なことと考えられます。しかし、問題なのは必要に応じた休憩時間を、きちんと把握できていないがゆえに、日報上の労働時間が長くなってしまっていることです。

 そもそも労働時間とは、始業から終業までの拘束時間から休憩時間を差し引いたものをいいます。運輸業にありがちな荷待ちの時間など、本人が完全に自由に使えるとはいえない時間は「手待ち時間」といい、これは休憩時間にはなりません。先ほど挙げた例でいうと、朝食、夕食の時間、車を止めて休憩している時間は休憩時間としてカウントすることができるでしょう。それが各30分だったとしても、1日に1時間程度の労働時間を縮めることが可能となり、1か月で20時間程度の労働時間を短縮することが出来ます。今後は、ドライバーに休憩時間は短い時間であろうと正確に記載するように教育指導を行い、昼食時間以外にも実際に休憩した時間を申告してもらうように意識付けしましょう。

 長時間労働は残業代高騰と健康管理の二つの大きな問題を含んでいます。しかし、きちんと休憩時間を管理していれば労働時間を短縮することができ、結果的に残業代のコストダウンとなります。また、仮にドライバーが疾病を患った場合、長時間労働による労災認定のリスクは労働時間が短縮された分だけ軽減されます。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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