第55回:血圧検査の実施

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第55回:血圧検査の実施

2015年6月18日

 先日、労災の発生状況をまとめた『平成24年度脳・心臓疾患の労災補償状況のまとめ』が厚労省から発表されました。注目すべきは、この病気にかかる業種の1位は運輸業、職種はドライバーであり、しかも、2位以下を大きく引き離しているということです。


 脳・心臓疾患の労災認定で、なぜ運輸業が多いのでしょうか。それは、脳・心疾患と高血圧が深く関係しているからだと言われており、調べてみると高血圧のドライバーは非常に多いのです。高血圧は、塩分の取り過ぎやストレス、肥満、不規則な睡眠などが原因と言われています。なぜ高血圧のドライバーが多いかというと、業界的に不規則で長時間の労働体系でありストレスが発生しやすいということはもちろんですが、ほかにも原因があると言われています。例えば、夜間走行時に眠気を覚ますために缶ジュースや缶コーヒーを飲むことが多く、これらには大量の砂糖が含まれており、高血圧の原因である肥満になりやすいからとも言われています。また、近年の調査では睡眠と高血圧に因果関係があると言われており、睡眠が不規則であれば血圧が高くなることがわかっています。

 脳・心臓疾患を防ぐためには、年1回または2回の定期健診だけでは会社が各社員の健康状況を全て把握することは困難であり、十分でありません。事故が発生すれば労災認定が行われるだけでなく、会社の安全配慮義務違反で裁判になった場合、労災認定をもとに不利な結果が予想されます。そして、前回お話しした通り賠償額が高額となってしまいます。

 そこで、労災認定のリスクを減らすためには毎日、血圧検査を行うべきでしょう。理想は、前回お話しした「運行前のアルコールチェックと同時に血圧検査も実施すること」です。運行前に定期的に行うのが困難であれば、せめて週に1回行うことを検討してみましょう。血圧の高いドライバーは多く、脳・心臓疾患による事故の危険も高いのです。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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