第5回:健康診断について

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第5回:健康診断について

2013年7月18日

 業務の特性上、長時間労働が余儀なくされる運送業では、会社が社員の健康状態を把握し、その結果によっては業務に就かせないなど、必要な措置が求められます。もし、健康状態に問題のある社員をそのまま業務に就かせ死傷事故を起こした場合、会社が責任を負います。

 また、平成20、21年度の東京都内で一番死傷災害が多かった業種は運送業というデータもあります。これはリーマン・ショック後に各事業所が車の台数を減らした分、一人ひとりの労働時間が増加し、健康障害を起因とする労災事故が増えているのではないかと言われています。このようなリスクを避けるためにも、定期健康診断のあり方を再検討する必要があります。


 健康診断というと「毎年1回」「深夜業に従事する場合は半年ごとに1回」など回数の話がメーンになりがちです。しかし、法定の回数を実施することはもちろん、健康診断という制度をどのように運用していくか、あらかじめルールを定めておくことの方が大切です。

 明確にしておきたいのが費用負担です。定期の健康診断は形式上、会社の命令で社員に受診させるので、費用は会社が負担し、業務中に受診した場合、その時間は有給として取り扱うことが一般的です。しかし、本人の都合で会社が指定した時間・場所で受診できない場合、その時間は無給でも構いません。

 次に健康診断の強制力についてです。会社としては必ず受診させておきたいのですが、「時間がない」「面倒だ」との理由から拒否してくることも想定できます。会社は「正当な理由なく拒否した場合、懲戒事由を適用する場合がある」など厳格にルールを定めておくべきです。費用についても強制力についてもルールを作るだけなく、きちんと就業規則に記載しておくことで、効力が発揮されるのです。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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