第46回:解雇規定に記載してはいけない文言

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第46回:解雇規定に記載してはいけない文言

2015年2月12日

 人事労務で従業員と一番トラブルになるのが、やはり解雇に関する問題です。従業員にとって職を失うことは生活に直結するため、必死になりトラブルも多くなってしまいます。

 そもそも解雇には普通解雇、整理解雇、懲戒解雇の3種類があります。いずれも解雇の要件が厳しく設けられており、簡単に行うことが出来ません。要件を満たさないのに解雇を行った場合、不当解雇として、従業員と解雇の無効を争うことにもなりかねないのです。解雇を行う際は、最も慎重に対応しないといけません。


 また、就業規則の解雇規定にも注意が必要となります。皆さんの就業規則の解雇規定には、「著しい」や「重大な」という文言が記載されていないでしょうか。このような曖昧な表現が記載されていると、トラブルの原因となってしまうのです。

 例えば、就業規則の解雇事由の一つには「会社に損害を与えた場合」、もう一方には「会社に著しい損害を与えた場合」と記載された二つの就業規則があるとします。どちらの就業規則が解雇を認められやすいでしょうか。10億円の売り上げの会社で1000万円の損害を与えた社員がいたとします。売り上げの1%の損害で、果たして「著しい損害」と裁判所で認定されるでしょうか。実際に裁判をしてみないと分かりませんが、「著しい損害」と記載したことにより認定が難しくなることが想定されます。

 就業規則とは、会社が主体となって定めることが出来るルールです。そのため敢えてトラブルになりやすい規定や文言の記載は避けるべきなのです。自社の就業規則に「著しい」「重大な」と記載されているのであれば、労使間の無用なトラブルを避けるためにも、この文言を削除することを検討してみてはいかがでしょうか。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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