第44回:就業規則作成の重要性

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第44回:就業規則作成の重要性

2015年1月15日

 社員が10人未満の会社では、就業規則を作成していないという話をよく聞きます。確かに社員が10人未満であれば就業規則の作成、届け出の義務はありません。しかし、我々は、社員が10人未満であっても就業規則は作成すべきだと考えています。それは、就業規則が労務トラブルに対抗するために重要な意味を持っているからです。

 ある運送業者の社長から「ドライバーがトラックから降りてきた時、どうも酒臭く、何回注意しても直らない。辞めさせることができるか」と相談を受けたことがありました。結論から言うと、その社員を辞めさせることは難しいと我々は判断しました。


 その理由は、労働契約法という法律の中で、「懲戒処分もしくは解雇する場合、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない処分はすべて無効となる」と定められているからです。分かりやすく言い換えれば、会社で労使間の約束事を決める就業規則を作成して、「この内容に違反する行為があったら懲戒処分、場合によっては解雇します」ということが明示されていなければ、懲戒処分、解雇をした行為そのものがすべて無効になりかねないのです。

 先ほどの飲酒運転の話は、なぜ処分が難しかったかというと、「飲酒運転をしてはいけません」という当たり前の規定がなかったため、処分が難しいという判断になってしまったのです。交通違反で点数を減点され処分されることと、解雇するということでは全く話の次元が違ってくるのです。

 会社のルールである就業規則を作成し、懲戒処分、解雇の事由を明示することにより、初めて懲戒処分、解雇を行うことが出来るのです。増加する労務トラブルに対抗するためにも、社員の人数にかかわらず就業規則を作成することが重要となってきます。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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