第43回:退職勧奨の活用

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第43回:退職勧奨の活用

2015年1月 1日

 我々が、ご相談頂く中で特に多い問題が『社員の解雇』についてです。しかし、「~をやった社員がいるけど解雇できますか?」という趣旨のご質問に対しては、我々としても非常にお答えに悩みます。

 その理由は、そもそも会社には解雇権が認められているのですが、その解雇に合理的な理由があったのか? 解雇という社員にとって最高に重い処分が妥当なのか? については、極端な話、裁判をやってみないと分からないからです。いったん解雇として、その後の裁判で「不当解雇」とされれば、会社は金銭的にも時間的にも大きなダメージを受けることになります。ですから慎重にならざるを得ないのです。


 そこで、まずは『退職勧奨』を行うことをお勧めします。退職勧奨とは、会社から強制を伴わない退職の働きかけをすることで、合意退職を促す行為です。この退職勧奨には労使双方にとってメリットがあると考えています。

 まず、会社にとってはあくまで自主退職なわけですから、前述したような不当解雇を巡る争いは発生しません。次に社員にとってのメリットです。社員は会社を解雇されると、雇用保険のいわゆる失業給付を制限期間なしにすぐにもらえますが、再就職する際には履歴書に「会社都合による」などと退職理由を書かなければなりません。会社都合で辞めたという事実は再就職にとって非常に不利です。採用する側の立場で考えれば、以前の会社をクビにされた人を積極的に採用しないでしょう。

 また、当然のことですが、履歴書を偽れば「職歴詐称」で再就職先でも解雇される可能性は非常に高いと言えます。ですから、再就職を考慮し合意退職を承諾した方が、期間・金額に限りのある失業給付を受けるよりも将来的に有利といえるのです。解雇という選択肢はこの退職勧奨を経てからでも十分間に合うはずです。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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