第40回:トラック運転者の拘束時間

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第40回:トラック運転者の拘束時間

2014年11月20日

 皆さんご存知のとおり、運輸業界向けに厚生労働省から「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」が策定されています。政府から時間管理の基準が出されることは他の業界ではあまり見られないだけに、運輸業界は長時間労働が恒常化していると伺えます。我々が運輸業の経営者からお話を伺うと、この基準と労働基準法を混同して考える方が実に多いように感じます。しかし、実際は全くの別物であり、注意する点も異なってくると我々は考えます。


 この基準ではトラック運転者の拘束時間がこと細かに定められています。例えば、拘束時間の限度は、1か月320時間、1日最大16時間までといった具合に何項目にも分かれて細かく時間が設けられています。そして重要な点は、運輸局がこの基準をもとに休車の罰則を判断していることでしょう。運輸局の罰則基準では、未順守件数に応じて休車の罰則を与え、20日から最大120日までの休車処分を行います。休車は業績に直接的に影響するため、企業の経営を圧迫し、経営者にとって軽視することの出来ない問題です。

 もう一方で、会社は労働基準法を守る義務が課せられています。労働基準法による法定労働時間は週40時間以内、1日8時間以内と労働時間の限度が定められており、この時間を超過すると懲役または罰金の対象となってしまいます。しかし、この場合、時間延長を行う旨の協定、いわゆる36協定を締結することにより時間の延長が認められ、罰則は適用されません。

 つまり、労働基準法違反と運輸局の違反とでは、基準も定義も異なるのです。前述のとおり労働時間に限っていうと労働基準法よりも運輸局の罰則基準の方が厳しくなります。労働基準法に違反していないからといって、休車の罰則がないというわけではありません。

 ゆえに運輸業界では労働基準法を守るだけでなく、特に運輸局の罰則基準についても注意する必要があるのです。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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