第38回:年次有給休暇の買い取り

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第38回:年次有給休暇の買い取り

2014年10月23日

 年次有給休暇は、6か月継続勤務した人が、労働日のうち8割以上出勤すると、労働者に与えられます。これは、退職しようとする労働者にも例外なく与えられます。

 退職者の当然の心情として、せっかくなので年次有給休暇の権利を全て行使して退職したいという思いがあります。引き継ぎ未完了時においても残っている年次有給休暇を全部取得するという申し出があった場合、会社はよっぽど業務が忙しくない限り、拒否することができません。出社しないとはいえ、籍はまだ会社にあるため、一定のリスクは会社に残ります。例えばプライベートで飲酒運転により交通事故を起こしてしまった場合、その事故の大きさによっては会社の名が世に知れ渡るかも知れません。また、コスト面からみても年次有給休暇取得により、退職日が翌月にずれ込んでしまった場合、社会保険料を余分に1か月支払わなければなりません。


 そこで考えられる対策として、「年次有給休暇の買い取り」があります。会社が年次有給休暇を買い取るという話をよく聞きますが、本来、「年次有給休暇の買い取り」は労働基準法では禁止されており、労働者の年次有給休暇を買い取って、年次有給休暇の日数を減らしてしまうことはできません。ただし、退職間近になって、従業員に未消化の年次有給休暇が残っている場合には、これを会社が任意に買い取ることは認められています。というのも、この場合、会社は時期的に取得不可能な従業員の年次有給休暇を善意で買い取ってあげているだけで、従業員にとってはむしろ利益となるからです。

 また、買い取り価格についても、とくに法律で定められた基準はないので、会社が決めた買い取り価格が平均賃金に対して著しく低い場合でも、違法とはなりません。買い取り価格は退職者との話し合いの上、折り合いをつけることとなります。1日あたり5000円から1万円程度が一般的となります。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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