第33回:退職金制度移行時の注意

連載トップへ

第33回:退職金制度移行時の注意

2014年8月14日

 今年の3月をもって、いよいよ税制適格退職金制度(適年)が廃止されました。これにより退職金制度を持つ会社では、退職金積み立てを別の制度へ移行する必要があります。

 移行先について、経営者の皆様とお話ししていると、やはり中小企業退職金共済制度(通称・中退共)が多いようです。しかし、多くの経営者様は積立制度の移行を終えて一安心してしまっています。重要なのは積立制度の移行と同時に、会社が定める「退職金規程」の中身も見直すことなのです。


 まず、退職金制度は大きく二つに分類することができます。一つ目は退職時に支払う金額を確定させる、いわゆる「確定給付型」です。支払い金額を退職時の基本給×勤続年数×係数で決定する方法は、この代表例と言えるでしょう。

 二つ目は、会社が何らかの基準によって決定した毎月の掛け金のみを拠出する「確定拠出型」です。今回、多くの会社が移行先として選ぶ中退共は、毎月の掛け金を会社側が選択することができるため、前述の分類でいえば「確定拠出型」と言えるでしょう。
 
 つまり会社側は、毎月一定額の支払いのみで済むはずですから、これまで経営者様を悩ませてきた積立不足のような問題は本来発生しません。それにも拘わらず、退職金規程が古いままであるため、将来の支払い金額について「退職時の基本給×勤続年数×(景気が良かった頃の基準の)係数」となっていたらどうでしょう? 中退共であっても積立不足または積立超過が発生します。

 積立不足の場合、不足分については会社が別に補填しなければなりません。また、中退共は直接本人に支払われるため、積立超過である場合でも、超過分は会社側に一切返ってきません。

 これは、退職金の積立制度と退職金規程がバラバラであるために起こる現象です。退職金制度については、どちらか一方だけでなく、必ずセットで見直さなければなりません。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

GoogleAD