第32回:不就労時の控除金額

連載トップへ

第32回:不就労時の控除金額

2014年7月31日

 給与の支払い方について「月給制」という言葉がよく使われます。この「月給制」ですが、月を単位ということで細かく見ると「完全月給制」「月給日給制」に区分できます。二つの違いを大まかに言うと、欠勤や遅刻など不就労があった場合に賃金控除できるか否かになります。


 最近は採用する企業が少なくなりましたが、完全月給制を採用している企業の場合、月単位で給与額が決定しているため、不就労があっても、その分について賃金を支払う必要があります。

 これに対して月給日給制では不就労があった場合、その分の賃金を控除できるのです。日本の労働契約の中では、社員の労務提供に対して給与を支払う仕組みになっています。逆に言うと労務提供がない時間に給与を支払うことまでは求められていません。完全月給制と月給日給制のどちらが正しいということはありませんが、ルールと運用が曖昧になっていることも考えられますので、長い間、就業規則を見直したことがない会社では、就業規則上の規定を確認することをお薦めします。

 また、月給日給制を採用している会社から、欠勤した場合に金額はいくら控除して良いのか? という質問をよく受けます。これは就業規則にどのように定められているかによって変わるのですが、実務的には就業規則に基本給と手当の合算額を当該月の所定労働日数で割り、1日分を算出して控除できるよう定めておくのが一般的です。

 ただし、遅刻には注意が必要です。控除金額は1時間あたりの金額を算出して、遅刻時間分控除することで良いでしょう。しかし問題は「どのような場合が遅刻で控除の対象となるのか?」です。これは定義の問題になるかと思いますが、トラブルになりやすいポイントです。例えば公共交通機関が遅れた場合でも、会社によってはいかなる理由も遅刻として賃金控除を行います。当たり前のように取り扱ってきた遅刻の定義でも、今一度確認されてはいかがでしょうか。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

GoogleAD