第30回:急きょ転勤してもらう場合 会社がすべき準備は

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第30回:急きょ転勤してもらう場合 会社がすべき準備は

2014年7月 3日

 地方にある営業所、支店などで欠員が出た場合、大手企業であれば現地採用という手段が考えられます。しかし、中小企業においては費用・労力面から見ても、または新人に対する教育環境という面でも、現地採用は難しく、別部署からの転勤で欠員をカバーする必要が出てきます。今回は、もともとは転勤させる予定はなかったが、急きょ転勤してもらう必要性が生じた場合に、会社はどのような準備をしておくべきなのかを確認していきます。


 まず、中小企業において事業所が複数ある場合は、雇用契約書や就業規則の中に「転勤なし」など勤務地を限定するような記載をするべきではありません。当然のことながら、このような記載があれば転勤をさせることはできません。今は転勤の可能性が限りなくゼロに近くとも、必要性は突如発生するものとお考え下さい。

 次に人選です。なぜその人に転勤を命じたのか理由が明らかでなければなりません。これは「即戦力である必要があるため、入社○年以上の者」と具体的に絞り込んでいきます。逆に「他に断られたから」というような曖昧な理由は、人選のうえでは不適当です。

 最後に、対象者の家庭の事情を考慮しなければなりません。とは言っても、「家を購入した」「子どもがまだ小さい」というのは理由になりません。ご家族の中に要介護者がいる場合や、いわゆる「父(母)子家庭」などに関しては、転勤拒否の重大な理由となるので、避けるべきでしょう。

 このような準備がありながら、転勤命令を拒まれた場合はどうなるのでしょうか。これは労働力の債務不履行に該当します。社員は会社に対して労働力を提供する義務があります。それが出来ないとなれば債務不履行につき契約の解除、つまり解雇も可能ということです。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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