第29回:「聞いた、聞いてない」のトラブル 口約束で済ませない

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第29回:「聞いた、聞いてない」のトラブル 口約束で済ませない

2014年6月19日

 4月は入社が多い季節であり、また「入社~年目だから」と、昇給を実施される会社も多いことでしょう。しかし、昇給に関して経営者様のお話を聞いていると、どうやら口約束のみで済ませていることが多いようです。

 給与額が上がるということは、厳密に言えば現時点と労働条件が変わることを意味しています。ですから、お互いのためにも口約束のみではなく、きちんと書面に記しておくべきです。


 このとき、もちろん「労働条件通知書」という形で一方的に通知することも可能です。しかし私としては、お互いが署名・捺印し、各1部ずつを持ち合わせる「雇用契約書」として交わしておくことをお奨めいたします。後になって「聞いた、聞いていない」のトラブルを防ぐためです。

 ここまでは昇給のお話でしたが、昇給があれば降給を実施する会社もあることでしょう。昇給とは異なり、降給についてはいささか注意が必要です。なぜなら、給与は一度上げてしまうと本人の「同意」なくしては下げられないからなのです。これは、会社の経営が悪化し、給与を下げなければ将来、倒産してしまうという状態であっても同じです。

 ですから、もしどうしても経営上、社員の給与を下げなければならないようなときは、まずはその事情を社員にきちんと説明するべきです。その事情を踏まえて本人からの「同意」をもらい、給与を下げるという実務が必要になります。もちろん昇給のときと同様、雇用契約書は交わしておくべきですし、「同意」についても書面に記してもらうことが重要です。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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