第26回:精神疾患の労災認定基準(2)

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第26回:精神疾患の労災認定基準(2)

2014年5月 8日

 前回に引き続き、今回も精神疾患の労災認定基準についてお伝えしたいと思います。まず、前回のポイントですが、大まかにいうと、労災に認定された場合、会社側は安全管理不足による多額の損害賠償請求リスクを負い、社員は手厚い療養費や休業補償などでメリットが大きいということでした。

 それでは、まず、今回発表された「認定要件」を見てみると(1)対象疾病を発病していること(2)業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと(3)対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷(ストレス)が認められること──とあります。


 (1)については当然、医師による診断が必要ということです。次に(2)の業務以外の心理的負荷とは、例としては、離婚や多額の借金を負った場合などがあり、個体側要因とはアルコール依存症などがこれに該当します。

 つまり、私的な理由で心理的負荷を負っていないと認められれば、労災認定要件を満たすということになります。

 最後に(3)については、発病前6か月に起きた業務上の心理的負荷状況を見ます。具体的には、「業務による心理的負荷表」が作られ、これを指標として心理的負荷を「強」「中」「弱」の3段階に区分して評価します。この結果、「強」となった場合は、業務による強い心理的負荷を与えたことが認められ、(3)の要件を満たすことになるのです。

 運輸業では長時間労働が恒常化していますが、これも評価が「強」となり得る要因の一つです。1か月間の時間外労働が平均100時間以上であれば、確実に「強」となるでしょう。

 平均100時間以上まではなくとも、平均80時間以上あれば、他の要因との組み合わせ次第で「強」となり得ます。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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