第24回:労働基準法改正のポイント

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第24回:労働基準法改正のポイント

2014年4月10日

 平成22年に労働基準法の大規模な改正が行われました。改正の内容はいくつかありましたが、その中でも関心の高かったものが「月60時間を超える法定時間外労働に対して、50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」という義務規定でした。しかし、これについて適用されたのは、当時のいわゆる大企業のみであり、中小企業に関しては「当分の間、適用が猶予される」となっていました。


 そして、気になるこの「当分の間」という表現は、改正法の施行から3年とされています。つまり、平成25年4月からは中小企業を含む全ての会社で、この「月60時間超え」の改正が適用されることになるのです。運輸業のように長時間労働を余儀なくされる業界では、この改正によるコストアップは、非常に大きな負担といえるでしょう。

 では、この問題に対してどのような対策が考えられるでしょうか。一つは、根本的な方法として労働時間の短縮です。これは、今回に限らず各社で行っていることかと思われますが、今後は一層の継続的な努力が必要です。

 そしてもう一つは、残業代支払い方法の変更です。つまり、定額残業制の導入です。しかし、定額残業制を導入するのであれば、以前にもご案内した通り、就業規則・給与規程の変更、社員からの同意も必要になります。また、労働条件も変わるため、雇用契約書の取り交わしも必要になるでしょう。この一連の流れに少なくとも6か月は要すると思われます。

 ここまでを聞いて「まだ1年以上ある」と、お思いになるでしょうか。私どもからすれば、準備をきちんと整えるためには「あと1年しかない」状況なのです。

 運輸業者の中には、月の残業が60時間を超えているところも決して珍しくありません。これまで、自社の働き方について見直しを検討されていたのであれば、なるべく早めに取り掛かることをお奨めします。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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