第22回:団体交渉時における注意点(2)

連載トップへ

第22回:団体交渉時における注意点(2)

2014年3月13日

 前回に続いて、もう少しだけ団体交渉時における注意点をお話ししておきます。

 まず、前回ポイントとなっていたのは(1)団体交渉の申し入れがあった場合は、特別な理由がない限りは受ける②弁護士のスケジュールを押さえるなど、事前に準備整えて臨む──でした。しかし、それ以上に最も重要なポイントは「全てその場で判断しない」ということです。


 冷静に考えれば当たり前のことと思われるでしょう。しかし、現実的には内容もよくわからないまま、その場で出された書類に捺印してしまうケースもよくあることなのです。これは、団体交渉という場の環境も大きく影響しています。交渉を申し入れた側は、ときに法律論で会社を圧倒し、威圧的ということもあるのです。申し入れた側から見ればユニオンに加入し、「最終手段」として団体交渉を申し入れているわけですから、熱が入ってしまうのも当然のことなのかも知れません。

 一度取り交わしてしまった協定・協約は、簡単には元に戻せません。ですから、その場で判断をせず、返答期日を明確にして慎重に吟味する必要があるでしょう。

 また、一回の交渉で全て解決しようとする必要はありません。あくまで「交渉」なわけですから、何度か行ってお互いが納得する解決に至ることが、より望ましいといえます。

 団体交渉で最終解決しなければ、次はあっせんや労働審判などの制度があり、最終的には裁判に至ります。裁判では、労使ともに貴重な時間と高額な費用がかかることは明白です。

 団体交渉で妥協しろということではありません。しかし、解決に向けて万全の準備で臨むことで、お互いの時間と費用のロスを防ぐことになるはずです。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

GoogleAD