第18回:研修効果を上げる賃金体系

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第18回:研修効果を上げる賃金体系

2014年1月16日

 職業柄、様々な業種の経営者とお話しさせて頂く機会がありますが、私個人の感想として、とりわけ運輸業界の研修は、他の業種と比べて回数が多いと思います。今回は、研修で効果を上げた事例をお話しします。

 ある会社様では毎月、業務に関連する研修を行っていました。しかし、期待したような効果をなかなか上げることができず、事故の件数も減らなかったそうです。そこで研修の状況を確認すると、ほぼ強制的に行っているものの、業務の繁忙や、私的な都合を理由に参加できない人が多数いたそうです。


 そこで、この会社様は、社員のより積極的な参加を促すため、研修のあり方や賃金システムの仕組みについて、抜本的に変えることにしました。具体的には、全社研修からグループ単位へ変更し、その研修参加者へは、二つの手当を支払うことにしました。手当の一つは、グループのメンバー全員が参加することで、初めて各人に支払われる手当です。もう一つは、参加することで本人に対して支払われる個別の手当です。すると、会社からではなく、班長を中心にメンバーに研修会への参加を促すようになり、従前と比べ参加率が格段に上がったそうです。

 この変革の効果にならい、もう一つ取り組んだことがあります。それは、歩合給を導入し、その計算方法は、売り上げから燃料代と高速代を差し引いた金額に、一定の割合を乗じた金額を支払うことです。

 歩合給に燃料代が加味されるので、ドライバーは無駄なアクセルワークを止め、アイドリング時のエンジン停止を励行するようになったそうです。また、燃費を上げる運転の仕方や、燃費の良いドライバーの取り組み事例などに意識が高まり、前向きに参加するようになりました。その結果、燃料費が下がったことはもちろん、事故件数も減ったそうです。

 ある専門家の話によれば、燃費と事故は因果関係があり、燃費の良い会社ほど事故が少ないとのことです。皆様の会社でも検討してみてはいかがでしょうか。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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