第14回:退職時の合意書

連載トップへ

第14回:退職時の合意書

2013年11月21日

 現在まで、運輸業者向けセミナー参加企業が約300社以上、そのうち約100社以上の経営者の相談に応じてきました。数多くある業種の中で、運輸業者様の相談件数はダントツです。特に多い相談は、会社を退職した社員とのトラブルです。今回はこの辺りを整理していきましょう。

 退職時のトラブルで相談が多いのは、退職後の金銭問題、残業代未払い、機密情報漏洩等さまざまです。先日もある経営者様から、退職時に本人へ「会社で得た情報を退職後、漏らしてはいけません」と口頭で伝えたにもかかわらず、転職先へ傭車情報を漏らされた、何とか金銭的制裁をできないだろうかという相談がありました。


 このような場合、多くの経営者様は、金銭的な制裁を検討されるのですが、いくらの損害を受けたのか損害額がはっきりしないのと、傭車側から自由意志で判断したと言われたら、ほとんど金銭的制裁は不可能となります。また別のケースで、退職後に労働基準監督署へ駆け込み、残業代不払いの請求をされた相談は、毎月のようにそれぞれの企業様から頂いております。終わり良ければ全て良しではありませんが、退職時にトラブルが起きにくい取り扱いが重要です。そこで、私共が経営者様に提案しているのは、退職時には必ず退職届と一緒に、退職時の合意書を作成し、取り付けることです。

 合意書の中身は、退職後における個人情報の守秘義務、会社機密情報の守秘義務、それに伴う損害賠償、さらに残業代に関連して、金銭の債権債務の不存在確認まで、退職後に訴える場合はもちろんのこと、逆に訴えられることも想定した記載をしておきます。

 特にドライバーは、他の業務と違い労働時間・拘束時間が長く、また不明瞭となっている場合も多くあります。さらには経営者側の認識と、労働者側の認識の食い違いもありえます。

 従って、その点に言及した債権債務の不存在確認は必要であると考えております。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

GoogleAD