第118回:ドライバーを通して行うイメージ戦略

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第118回:ドライバーを通して行うイメージ戦略

2017年11月 2日

 前回、前々回と規律づくりによる社内秩序維持についてお伝えしました。そして今回は、規律をつくることによる、もう一つの効果についてお話します。


 今やドライバーには、運転技術や荷下ろし技術だけではなく、荷主や配送先への接客力まで求められる時代です。普段、直接荷主と顔を合わせるのは、社長ではなくドライバーです。ドライバーは会社の顔であり、ドライバーの良し悪しで会社の印象はガラッと変わってしまうのです。印象のいいドライバーであれば、運賃交渉の際、「○×君はいつも頑張っているから、運賃を上げてもいいよ」とすんなり交渉ができたという話を、ある社長から聞いたことがあります。自社のドライバーの行動や印象が、会社の売り上げを左右するといっても過言ではありません。


 そのため、ドライバーの教育・研修に時間をかける会社も増えています。会社のイメージを外に発信するために、教育・研修とあわせて、その土台となるドライバーの規律づくりを始めたいという経営者からの相談も目立つようになりました。


 そのなかでも相談が多く、効果的なのがドライバーの身だしなみに関することです。以前、お話した「茶髪・ピアス禁止」などが分かりやすい例です。人の第一印象は、見た目でほぼ決まってしまいます。ドライバーの仕事を接客業の一つと考え、「多くの人に清潔感を感じられるものか・不快ではないか」を身だしなみの基準にします。荷主が限定されているなら、その荷主にとって清潔と感じられるもの・不快ではないもの、と考えてもいいかもしれません。身だしなみへの感覚も多様ですから、「制服のボタンは第一ボタンまで留める」「首にタオルを巻いてはいけない」など、具体的にしてよいこと・いけないことを服務規律に落とし込んでいくとよいでしょう。


 規律ばかりだとドライバーも息苦しさを感じてしまいます。ただ押し付けるのではなく、例えば「みんなきちんと制服を着るのは、荷主から『あの制服は○○会社のドライバーで、いつも優秀だな』と印象づけてほしいからだ」など、規律に込めた思い・理由を伝えることも大切です。


 社員が会社の思いを理解した上で、制服や身なりなど、身だしなみを整えると、自然と仕事の向きあい方も丁寧で真摯になる傾向にあります。すると、荷物の扱いが丁寧になったり、乱暴な運転がなくなり、荷主へのアピールにもつながります。また、事故や違反が減ることで、自動車保険料の上昇抑制などコスト削減にも寄与できるのです。効果的に規律を定めることは会社のイメージアップにつながり、コスト面でも経営に好影響を与えるのです。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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