第116回:給与制度変更の心構え

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第116回:給与制度変更の心構え

2017年10月 5日

 これまで「出来高給制度」や「定額残業制度」など様々な給与体系についてお話してきました。どの給与制度を選択しても、変更時に最も社長を悩ませるのが、社員にどう説明するのかということです。出来高給制や定額残業制は、社員にとっては従来の制度よりも、もらえる給与や残業代が少なくなるかもしれないからです。強い反発を受けるのではないか、社員に説明するくらいなら今の制度のままでいいんじゃないか、とついつい弱気になってしまいます。


 多くのお客様の制度導入に携わってきた経験からお話しすると、納得のいく給与制度を示せば、ドライバーは一定の理解を示してくれます。ドライバーが不満をもつのは、給与のしくみが不透明で、何かごまかされているのではないかと感じるときです。会社をより良くしていくという前向きな給与改定であれば、社長の説明も行いやすいのではないでしょうか。新しい給与制度については、労働時間などのデータをもとに「今後、こうなる」とシミュレーションしたものを見せることが効果的です。文書や図表を使って、なるべく「見える化」していきましょう。


 また、制度の変更は一度に済まさなければならないと思っている社長も多いのですが、それは、なかなかできることではありません。一気に高い目標を設定しても、ゴールが見えなければやる気も失せてしまいます。ならば、「今年は規定を明文化しよう。来年は残業時間の短縮に取り組もう。再来年は給与体系の一部を変えよう」というように、毎年、実施が可能な目標を設定して、少しずつ進んでいけばいいのです。社員の気持ちになってみると、一度に大きく制度が変更するよりは、少しずつ変わった方が、抵抗感も少ないはずです。社長はじっくりと腰をすえて、こうなりたいという会社の姿に導いていくのです。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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