第114回:就業規則作成が必要な理由

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第114回:就業規則作成が必要な理由

2017年9月 7日

 社員が10人未満の会社を中心として、就業規則がない中小企業をよくみかけます。仮にあったとしても、数十年も改定しておらず、棚の奥から埃をかぶって出てくるといった状態です。確かに、社員が10人未満の会社では法律的には就業規則の作成義務はないため、違法ではないです。ただ、当社では社員が10人未満の会社でも作成すべきと提案しています。理由は、「経営の安定継続のために必要だから」です。


 何かにつけて社員が会社を訴える風潮の昨今、未払い残業代、過労やうつによる使用者賠償など、リスクは数百万から数千万円に及びます。場合によっては億を超え、経営の屋台骨を揺るがしかねません。また、世間の風評被害も大きく、会社の資金や信頼回復にかかる時間、ブランドなど貴重な経営資源を大きく消費してしまいます。そのような労務トラブルから会社を守り、経営の安定した継続を図るには就業規則の存在は不可欠です。


 例えば、残業代の根拠、始業や終業の定義、残業の指示や許可など、未払い残業リスク低減にはすべて就業規則上の根拠が前提となります。社員の病気罹患時の診断書提出、点呼時のアルコール検査に抵触したドライバーに対する乗務禁止命令やその賃金、問題社員に対する懲戒処分、有休の取得方法など人事労務管理は多岐に渡りますが、就業規則を作成し、経営者の人事権を補強することで労務トラブルを防ぐことができます。


 大企業やネット上のひな型ではなく、会社を守るために真剣に検討した就業規則を導入すべきです。労働時間、賃金制度、服務規律など様々な労働条件について就業規則でルール化しておくことが、ドライバーとの良好なコミュニケーションを可能にし、信頼関係を築くことにつながります。有休の取得や車のメンテナンスなど、良い職場環境構築のためのルールを明確化することで、社員に働きがいを持ってもらいましょう。よい規律づくりとは経営にプラスになるしくみづくりでもあるのです。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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