第111回:「出来高給制」の利点・注意点

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第111回:「出来高給制」の利点・注意点

2017年7月27日

 出来高給制は、主に仕事の量や達成度など、「結果」に対して給料を支払う方法であることは前回、ご説明しました。制度としては長距離手当や資格手当といった「手当」による加算と、一見似ています。しかし、その給与の計算方法には大きな違いがあります。「手当」は「固定給」であるため時間単価が基準となりますが、「出来高給」は「一つの『結果』に対していくら支払う」と決めるため、その達成にたとえ長い労働時間がかかったとしても、単価には影響がありません。「固定給」「出来高給」について、それぞれご説明していきます。


 まず、固定給(月給)は、「会社が決めた1か月の所定労働時間」に対して給料を支払います。仮に月平均所定労働時間は170時間として、ある仕事を250時間行ったとします。この場合の残業代単価計算の基礎は所定労働時間である170時間で計算を行います。そして、時間単価に対して125%の割増を行い、80時間相当の残業代を計算します。


 一方、出来高給制の場合、支払った出来高給は「結果」が出るまでの時間、すなわち全ての労働時間に対して支払うものと考えます。そのため総労働時間である250時間が残業代単価計算の基礎となります。そして、もちろん、出来高給制でも残業代は発生します。しかし、出来高給制の場合、残業時間も含めた総労働時間で「結果」を出し、その対価を支給しているという考えですので、残業代の割増は差分の25%の割増を行い、80時間相当の残業代を計算します。出来高給制の方が総じて残業代単価が低くなるのは、こうした仕組みがあるためです。


 ただし、このやり方にもデメリットはあります。出来高給は性質上、毎月金額が変動します。そのため、最低賃金を下回らないよう、最低保障額の設定や固定給を組み合わせていく工夫が必要となります。また、毎月、残業代単価の計算を行う必要があり、管理も複雑です。そして、出来高給制の支給方法や残業代単価の計算方法について、ドライバーの理解も必要となります。納得できない給与制度は、労使トラブルの温床となりますので、性質や計算方法の丁寧な説明が大切です。


 出来高給制はドライバーの評価に馴染みやすく、残業代単価の計算でもメリットがあります。


 一方で管理、運用は複雑であり、高度なノウハウが必要となります。導入の際は、出来高給制の知識が豊富な社会保険労務士などからコンサルティングを受けることをおすすめします。


(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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