第11回:随時検査と血圧検査

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第11回:随時検査と血圧検査

2013年10月10日

 前回までは震災対策として、助成金をテーマにお話ししましたが、今回から就業規則のテーマに戻ります。

 先日、厚生労働省から「平成22年度脳・心臓疾患の労災補償状況のまとめ」が発表されました。注目したいのは、この病気にかかる1位の業種は運輸業者、職種はドライバー、しかも、2位以下を大きく引き離していることです。この事実、運輸業界ではなかば常識化されておりますが、行政庁でも注視していると聞きます。今回はこの辺りを中心にお話ししていきます。


 脳・心臓疾患の労災認定で、長時間労働との因果関係が深いというのが、今回発表されたデータで示されております。具体的には、1か月平均で60時間未満の場合、認定件数は少ないのですが、80時間を超えると認定件数がかなり増え、80時間以上で92件、100時間以上で84件となっております。私も年間で200社近くの運輸業経営者と話しておりますが、月平均60─80時間近い残業をさせている運輸業者も珍しくありません。

 そこで、私が経営者へ必ず依頼していることがあります、定期的に血圧検査を行っていただくことです。出来たら運行前のアルコールチェックと同時に、血圧検査を勧めております。

 脳・心臓疾患と血圧の因果関係は、以前からよく知られております。年に1回または2回の定期健診だけで、企業が全てを把握することは困難です。仮に長時間労働の実態があり、事故が発生し、社員または遺族と争えば、経営者の安全配慮義務違反で労災認定はもとより、裁判などで不利な結果が予想されます。運行前に定期的に行うのが困難であれば、随時行うことで検討しましょう。

 お客様で、血圧の高いドライバーに病院へ行くよう促したが、拒否され、その日仕事をさせず賃金を支払わなかったら、内容証明で賃金を請求された事例も発生しました。これは法的側面の整備が整っていないがゆえに起きた事例です。この整備、大半の運輸業者で出来ていません。次回はこちらを説明します。

(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

保険サービスシステム株式会社
馬場 栄氏

馬場栄

保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士


年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。

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