第48回:民事信託の可能性 自社株式を誰にどう託すか

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第48回:民事信託の可能性 自社株式を誰にどう託すか

2015年2月18日

 〝もっていたい〟のに、もっていたくないものは何でしょう。それが自社株式です。創業者のみならず、企業経営者にとっては、自社株式をもっていることが経営支配権の元となります。いかに経営力がすぐれていても、経営実績があっても、自社株式をもっていなければ、いつでも、ただの人にされてしまいます。つまり経営者たるもの自社株式は手放せません。


 そんな重要な自社株式ですが、自分の相続時には相続財産となってしまうという側面もあります。相続財産となれば相続税が課税されて、売ることもままならないので、遺族に大きな経済的な負担を強いることになります。


 こんな謎めいた自社株式を、きれいさっぱりシンプルにするものの一つが「民事信託」といわれるものです。


 (ア)まず、自分の自社株に自己信託を設定します。自己信託とは自分が自分に信託するというなんとも奇妙な方法ですが、信託法上認められることになりました。


 (イ)自己信託の受益権を、配当を受け取る権利としておき、それを少しずつでも子どもや関係者に渡していきます。特に自社株の相続税法上の評価が低いときにはたくさん贈与してもよいでしょう。


 (ウ)受益権を贈与しても、自社株式の名義は自分のまま(自己信託している)ですので、自社株式に基づく株主総会での議決権の行使つまり経営支配権は維持しています。


 (エ)そして将来、自分の判断能力喪失時や死亡時には、信託終了させ、自社株式そのものを誰に帰属させるかを決めておけばよいのです。後継者が決まっていれば後継者に帰属させることになるでしょう。


 この信託という方法は会社法のほか、つまり信託法をつかった方法です。会社法を使った方法、すなわち種類株式を発行して同じようなことができます。この場合は、他の株主の承認や登記などが必要になります。


 どちらがいいのかは、会社と株主、家族の状況次第ですので、法律専門家に相談してみるとよいでしょう。


(荻野恭弘、名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

名南コンサルティングネットワーク

名南コンサルティングネットワーク

東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。

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