第44回:ドライバーの腰痛は労災?

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第44回:ドライバーの腰痛は労災?

2014年12月31日

 長距離ドライバーを中心に、腰痛に悩みを抱える方は少なくありません。長時間、同じ姿勢を続けていることで腰に負担が掛かり、それが腰痛へとつながっているのではないかとのことで、ドライバーから「これは労災保険の適用がされるのではないか」と訴えてきて、対応に困る事業者も相当数あるのではないかと推測されます。


 そもそも腰痛が労災保険の適用を受けるか否かについての判断は、労働基準監督署によって行われますが、その判断には「業務起因性」「業務遂行性」の2点が求められます。「業務起因性」とは、そのケガなどと業務に因果関係があるか否か、「業務遂行性」とは、労働契約に基づき使用者の支配下に置かれて仕事をしていたか否か、というもので、双方いずれの要件を満たす必要があります。


 腰痛については、原因が業務によるものであるのか、あるいはプライベートによるものであるのか、さらには加齢に伴うものなのか、その判断が難しいことから、厚生労働省から通達「業務上腰痛の認定基準等について(昭和51年10月16日 基発第750号)」が出されています。


 この通達においては、腰痛を「災害性の原因による腰痛」「災害性の原因によらない腰痛」の2種類に区分しており、「災害性の原因による腰痛」においては、例えば積み荷を下ろす際にギックリ腰になり、腰を痛めたといったように、仕事を進める中で明確な因果関係があるものが適用されることになっています。


 他方、「災害性の原因によらない腰痛」では、前述の明確な原因があるわけではないものの日々の負担が積み重なって発症するようなケースですが、これが労災保険の適用を受けるには、「腰への負担が強い業務に従事し、比較的短期間(約3か月以上)のうちに筋肉疲労が蓄積していた場合」「相当長い期間(約10年以上)にわたり従事していたことで骨が変化したことが原因となった場合」のいずれかの場合に限られ、かつ医学的な検証も行われますので、現実的に長距離ドライバーの腰痛が労災保険の認定を受けることができるケースは、それほど多くはないものと考えられます。


(服部英治、名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

名南コンサルティングネットワーク

名南コンサルティングネットワーク

東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。

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