第33回:会社の「後見人」

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第33回:会社の「後見人」

2014年10月 1日

 1、会社というのは法人であり、人間と違い、病気になり、または死亡することはありません。しかし、人間が会社を経営するのであり、会社に所属する人間が少ないと病気や死亡に近い状態になることがあります。とくに家族企業では、そのリスクが大きくなります。


 2、最近、関東地方の運送業者さまから次のような相談がありました。


 (ア)A社は、社長が76歳となりましたが、いまだ現役です。株式もご自身でほぼ100%保有していました。ある日、脳梗塞に見舞われ、入院し、意識不明の状態が続き、経営にも支障がでてきております。


 (イ)そこで、会社に残された人間は、社長を交代させたいと考えました。社長の交代や追加には取締役会の決議が必要です。


 (ウ)ところが残された取締役2人の仲が悪く、うまく決議ができない状態です。それでは取締役を変更・追加して、そのメンバーで社長を決めようということになったのです。


 (エ)しかし、社長がほぼ100%株式をもっており、取締役の変更・追加も不可能だということがわかりました。


 3、このような状態では、なにも意思決定ができず、場合によっては、会社やその販売先、仕入れ先、取引銀行、そして従業員に大きな被害がでるかもしれません。そういうことを考えると中小企業では、株主及び社長は事前に万が一の事態を想定し、準備しておくことが重要と思います。


 4、具体的には、信頼のおける司法書士や税理士らと任意後見契約を締結し、自社株を含む財産管理を任せ、あるいはもっと柔軟な家族信託をつかうなどして、自分の判断能力低下時の財産の管理処分、運営方法を決めておくことが重要です。法人である会社にも「後見人」をつけておく時代が到来したといえます。


(荻野恭弘、名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

名南コンサルティングネットワーク

名南コンサルティングネットワーク

東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。

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