第32回:会社法の改正2

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第32回:会社法の改正2

2014年9月17日

 株主は会社のオーナーであり、1株でも所有していれば、議決権があります。また、一定の条件のもと、いわゆる株主代表訴訟を提訴する権利や会社の資料などを閲覧する権利もあります。


 会社から距離があり、意思疎通のできない少数株主がいる場合、それだけで事業の継続に支障をきたす、事業に専念できない事態が生じる可能性があります。一方で、所有する株式は立派な財産であり、会社が勝手に株主から取り上げることもできません。


 今回の会社法の改正(施行は未定)では、このような事態を解決する選択肢として、「支配株主による株式等売渡請求」制度が設けられます。現在の会社法でも、種類株式(具体的には、全部取得条項付種類株式)や株式併合を利用することで、少数株主に現金を交付し、会社が株式を回収することはできます。しかし、これら手続きには株主総会の決議を要するなど、時間と費用が必要になります。


 新たに創設される「支配株主による株式等売渡請求」制度は、支配株主に直接株式が移転すること、取締役会の決議で足りることに特徴があります。簡単に解説します。


 1、特別支配株主のみが利用できる制度。特別支配株主とは、対象となる会社の議決権の90%以上を所有する株主のことで、会社だけではなく、個人でもかまいません。


 2、個々の少数株主から特別支配株主に直接株式が移転し、対価が現金で交付される。
 (1)特別支配株主が対象会社に対して一定の事項(売買価格や取得日等)を通知し、(2)対象会社が承認(取締役会でよい)し、(3)少数株主に対し通知又は公告し、④取得日に特別支配株主が取得する、という流れです。


 3、対象となる会社には、非公開会社(株式の全部につき、譲渡制限の定めがある会社)も含まれる。


 4、売渡株主は、売買価格の決定の申立て、差止請求ができる。


 5、組織再編行為のように、一定の事項を事前と事後に備え置かなければなりません。


 法律は、それぞれの立場の利益を調整するために存在します。新たな制度を利用して、少数株主の権利(投下資本の適正な回収)を保障しつつ、事業に専念できる体制を整えてはいかがでしょうか。


(岩本直也、名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

名南コンサルティングネットワーク

名南コンサルティングネットワーク

東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。

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