第31回:営業秘密の管理

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第31回:営業秘密の管理

2014年9月 3日

 今回は、会社の営業秘密の管理体制について取り上げて考えてみたいと思います。営業秘密というと、特許などの特殊な知的財産権をイメージする方も多いかもしれませんが、顧客情報や営業ルート、単価なども事業の運営にとっては重要な情報といえます。このような重要な情報が社外へ流出してしまっては、事業が成り立たなくなる恐れもありますので、情報戦略や管理体制は、今や企業の存続・発展に欠かすことのできないテーマだといえます。


 ところで、そもそも社員は会社との雇用契約に付随して、会社に対して秘密保持義務や競業避止義務を負っていると考えられています。また、取締役や支配人は、職務を行う際の善管注意義務(会社法330条、民法644条)や在職中に会社と競業する取引をしてはならない義務(競業避止義務・会社法356条1項、12条)を負っています。


 このように、社員や役員は、法律上も当然に営業秘密を社外へ漏らすことは禁じられていますが、それでも実務上は就業規則や雇用契約書、誓約書などで秘密保持義務や競業避止義務を定めておくことが多いのは、義務を再認識させ、情報管理を徹底する意味で非常に重要なことだと考えられているからです。


 しかし、法律はあくまで一般的な規定ですので、独自の情報管理体制を定めておくことが必要になります。例えば、重要な営業秘密にアクセスする社員については、情報の内容に合致した特別な情報管理体制を構築しておくとともに、社員に対する特別な秘密保持・管理規定を制定しておく必要があるでしょう。


 また、情報の管理体制そのものも非常に重要です。不正競争防止法2条6項では、営業秘密を「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」と定義し、「秘密として管理」していることが不正競争防止法上の保護を受ける前提となっています。重要な秘密は、社内の取り扱いとしても厳格に管理しておくことが必要です。


 以上から、自社の情報管理体制が適切に整備・運用されているか、一度見直してみてはいかがでしょうか。


(小谷祥、名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

名南コンサルティングネットワーク

名南コンサルティングネットワーク

東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。

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