第30回:雇い入れ時健康診断の必要性

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第30回:雇い入れ時健康診断の必要性

2014年8月20日

 人材確保難が続く運送業界では、求人広告掲載後に応募があった人材について、即採用と決定してしまうことが少なくありません。このタイミングを逃してしまうと、もう応募がないのではないかという不安がよぎり、しっかり働いてくれそうであると面接者が判断すれば、早速勤務開始日を決めてしまうのです。


 ところが、採用して暫くすると、本人の健康管理面に問題があることがわかり、解雇を含めた検討をする運送業者は相当数存在するように感じます。例えば、てんかんや内臓機能の障害など、中・長距離の運転中に万が一のことがあれば、営業停止処分どころか会社として多額の損害賠償を受けるリスクを抱えるとのことで、解雇を検討することになってしまうのです。


 確かに、そうした考えを抱くことは経営を考える上では理解できるものです。とはいえ、病気と正しく向き合って処置を重ね、漏らすことなく薬を服用して治療をしている人も相当数存在するのも事実です。


 従業員の健康管理が採用後に問題になるケースの多くは、そもそも入社時に雇い入れ時健康診断を実施していない傾向があるように感じます。雇い入れ時健康診断とは、労働安全衛生法第66条1項及び労働安全衛生規則第43条に定められている健康診断であり、受診すべき項目は法律によって定められています。その中に、既往歴についての診断項目もありますから、どのような疾患を抱えているのかわかるはずです。ところが、現実的には採用後、「毎日こっそりと薬を飲んでいる」と、ほかの従業員からの報告で持病が判明することが多くあります。費用捻出を抑えて受診させなかったことで大事故になってしまっては、会社経営の存続にもつながりますから、雇い入れ時の健康診断は必ず実施していきたいものです。


 雇い入れ時健康診断の結果、何らかの持病を抱えている従業員には、業務に支障がないという医師の証明書を提出してもらうことを本採用の条件にする、といった運用に切り替えることも検討してよいでしょう。


(服部英治、名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

名南コンサルティングネットワーク

名南コンサルティングネットワーク

東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。

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