第29回:事業継承と任意後見 遺言、家族信託

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第29回:事業継承と任意後見 遺言、家族信託

2014年8月 6日

 1、個人事業に限らず、法人であっても、事業用の資産、例えば土地・建物や自動車などを事情があって、個人名義にしている経営者がいらっしゃいます。こういう事業用資産と純粋な個人資産を混在させておくと、事業承継で思わぬ問題が生じます。


 2、個人は、判断能力の喪失や相続問題がついてまわります。このようなライフステージのリスクを、会社の取引先や従業員に負わせることは決して好ましいものではありません。


 3、あるいはまた、個人が、他の方の保証人などをしている場合には、それらの財産も差し押さえされ失いかねません。そういうあまたのリスクを回避することが重要になります。


 4、まずは、会社などの法人を設立し、名義を変えてしまうことがポピュラーな方法になります。出資するという方法であれば、会社からのお金の持ち出しもありません。


 5、しかし、法人を設立し、運営していくコストなどを勘案して、大きなメリットがないケースもありえます。そういう場合には個人事業でいくことになるでしょう。


 6、そのような場合、判断能力低下に備えて、後継者と「任意後見契約」を締結し、判断能力低下後も後継者が利用できるようにしておき、さらに、相続の場合に備えて「遺言書」を作成し、後継者に円滑に権利が承継できるようにしておくことをお勧めいたします。


 7、最近では、裁判所が絡んでくる任意後見契約と遺言書の代わりに、「家族信託」といわれる方法もとられています。家族信託は人によって定義が様々ですが、ここでは事業用資産を任せる人と任せられる人、その財産から利益を受け取る人がみな家族である信託ということにします。


 8、個人事業の経営者が事業用資産を後継者である息子に全部移してしまい、収益のみを受け取る。判断能力低下、相続でも基本的には何も手続きがいらない。そんな大変便利な制度です。


 スムーズな事業の承継に一度ご検討してはいかがでしょうか?


(荻野恭弘、名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

名南コンサルティングネットワーク

名南コンサルティングネットワーク

東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。

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