第26回:割増賃金支払い不要の管理監督者とは

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第26回:割増賃金支払い不要の管理監督者とは

2014年6月25日

 様々な運送業者と接していると、リーダークラスの従業員に対して割増賃金を支給していないケースを見かけます。管理職は割増賃金の支払いが不要との認識で、そのように対応されているのですが、最近、同様のケースで労基署から是正指導を受けるケースがみられますので注意が必要です。


 そもそも、従業員が時間外労働や休日労働を行った場合には、労働基準法の定めにより、割増賃金の支払いが必要となります。しかしながら、「監督もしくは管理の地位にある者」については、労働基準法第41条で労働時間、休憩及び休日に関する規定の一部を適用しないことができるため、管理監督者に割増賃金を支払わない(ただし、深夜業に関する規定については適用が除外されていないため、管理監督者であっても午後10時から午前5時までの深夜労働を行った場合には、深夜割増賃金を支払う必要があります)という運用は必ずしも間違いではありません。


 これを拡大解釈させて、リーダーや主任といった組織内で独自に決めた「管理職」についても、労働基準法上の「管理監督者」として扱い、割増賃金の支払い対象から除外するケースが散見されますが、厚生労働省の通達(昭和22年9月13日基発17号、昭和63年3月14日基発150号)においては、「一般的には局長、部長、工場長等労働条件の決定、その他労務管理について経営者と一体的な立場に在る者の意であるが、名称にとらわれず出社退社等について厳格な制限を受けない者について実体的に判別すべきものである」とされ、次の三つの要件すべてを満たしていることが求められています。(1)経営者と一体の立場にあること(2)出退勤等勤務時間について厳格な制限を受けていないこと(3)その地位にふさわしい待遇がされていること。


 具体的には、(1)は経営者から管理監督や指揮命令に係る一定の裁量を有した権限を付与されている必要がありますので、単なる命令の伝達者は管理監督者というには無理があります。また、(2)についても厳格な制限なく運用することが求められますので、遅刻や早退によって給料などが減額されるようなことがあってはなりません。更に、(3)については、一般従業員と比較してふさわしい待遇が求められますので、管理職に登用されるまで支給されていた割増賃金を受けていた方が毎月の手取り金額がよかったなどということは論外と考えるべきでしょう。


 以上により、リーダーに登用されることで(1)〜(3)のいずれかが満たされないということであれば、労働基準法における管理監督者ということはできませんので、割増賃金の支払いが必要となります。 


(服部英治、名南コンサルティングネットワーク http://www.meinan.net/

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

筆者紹介

名南コンサルティングネットワーク

名南コンサルティングネットワーク

東海地区トップクラスの経営コンサルタント集団。税理士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、不動産鑑定士、中小企業診断士など様々な資格を活かし、経営コンサルティングだけでなく労務管理、税務会計、各種登記・許認可申請、資産運用助言、ISO認証取得支援、マネジメントシステム構築支援など中小・中堅企業の経営をトータルにサポート。「運送業支援チーム」を結成し、業界特有のトラブル対応やトラブルの未然防止策などの経営支援に力を入れている。

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