第6回:事故防止について

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第6回:事故防止について

2013年8月 6日

【質問】当社は安全管理に力を入れており、教育も実施しています。過去1年間、重大事故は発生していませんが、なかなか事故ゼロにすることができません。運送会社で無事故の推進に成功している会社は、どのような工夫をしているのですか?


 無事故推進は運送会社の最優先テーマであり、常に直面する課題です。法令順守や安全管理体制の整備、ドライバー研修などを実施していても無事故を継続するには大変な努力が必要です。

 私が訪問した、ある会社の経営者は「事故防止の努力は河原で石を積み上げていくようなもの」と言います。「やっとあと一つで積みあがると思った時に事故が発生する。そしてまた最初から積み始める」。しかし、その会社は無事故を続けています。「同じことを毎日繰り返し言うだけ」との言葉どおり、繰り返し注意することが肝心です。

 そのうえで次の点に徹底して取り組むことをお勧めします。事故の原因は(1)過労運転など労働環境の悪化(2)私生活の管理不足(3)危険予知を含む運転技術の未熟さ(4)適性がない、または性格が向かない、に大きく分類されます。

 (1)は拘束時間や休憩、休息期間などの問題であり、法令順守や配車管理など主に会社側が対処すべき課題です。(2)は飲酒や夜ふかしなど体調管理による問題であり、業務を離れた時間帯での管理は個人の自覚を促すしかありません。

 東海地方のある運送会社は、家族に事故防止への協力依頼を手紙で出して、1年間無事故の場合、家族あてに感謝状と食事券を送付しています。関西のある会社はドライバーの無事故表彰に家族を招待しています。会社ができること、社員の家族に協力してもらう必要があることを分けて対策を打つ必要があります。

 (3)の運転技術の未熟さは危険予知トレーニングが最も効果的です。特にドライブレコーダーを使った画像での研修は効果があります。日ごろ走行している道路を仲間が運転している様子を見ることができるからです。入社後の同乗指導以来、運転指導をしていない会社が多いのですが、技術の向上や危険予知は、訓練で比較的早く修正できますので、重大事故を起こす前に実施するべきです。(4)は事故を発生させる確率が高く、修正しにくいので、本人のためにも他業務への配転を早期に検討すべきでしょう。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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