第96回:事故防止は自己管理力養成が第一

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第96回:事故防止は自己管理力養成が第一

2017年1月15日

【質問】事故の削減を最優先課題として取り組んでいます。安全教育にも力を入れていますが、事故を起こした社員が再び繰り返すケースが目立ちます。事故をゼロにするための留意点などがあれば教えてください。


 事故の削減は運送経営の生命線であり、最も重要な経営課題といえます。各社がこの対策に向けて、事故の要因分析や社員教育、安全機器や設備の導入、労働環境の見直しなど様々な努力をしています。しかし、思うように進まない会社もあります。事故が順調に減ってきたと思うと、再び大きい事故が発生するという繰り返しに悩んでいる会社が多いようです。


 事故を起こしやすい社員が繰り返すという事実は、実態としてよく見られます。同じ仕事をしても、事故を全く起こさない人と繰り返し起こす人に、はっきり分かれる会社をよく見ます。この差はどこから来るのでしょうか。その人の性格でしょうか。実際は、自分の行動を客観的に把握していない人が事故をよく起こしているようです。例えば、自分のゴルフスイングやバットスイングの録画を見せられると、「自分はこんな姿で振っていたのか」と愕然となることがあります。自分のイメージとまるで違うからです。また、録音で聞いた自分の声が他人の声にしか思えないことがあります。人は自分のことが分かっているつもりでも、本当の自分の姿は分かっていないのです。


 事故防止の推進にはドライバーの自己把握力が大前提になります。自分の運転動作や作業動作が本当はどうなのかを知ってもらう必要があります。ドライブレコーダーが事故防止に効果的なのは、そのツールとして大変有効だからです。しかし、運転中だけで十分でしょうか。構内作業中の姿はどうでしょう。積み下ろし作業の動作は適切ですか。何の問題もないと思いこみ、改善の必要性を感じていないケースはないでしょうか。


 出庫していくトラックや帰庫してきたトラックの姿をビデオに収め、その後の作業風景も映して、後日の勉強会などで確認してみてはいかがでしょうか。運転の癖や作業の癖を自分自身で確認できると、改善行動に結び付きやすいでしょう。安全教育の前提は客観的に自己分析させることから始めると効果があります。


 デジタコで収集したデータも労務管理目的だけでなく、ドライバー自身の自己管理力強化に活用しないと意味がありません。事故防止の推進は自己分析から始めて、自己管理力を養成することが第一だと思います。


(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)

 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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