第95回:コミュニケーションのルーティン化が採用、定着の最大戦略

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第95回:コミュニケーションのルーティン化が採用、定着の最大戦略

2017年1月 1日

【質問】最近、採用した社員がすぐに辞めることが多く、困っています。管理職には日常のコミュニケーションで退職を防止するように伝えていますが、実行できない管理職がいます。どのような対策が必要でしょうか。


 職場の「コミュニケーション」は社員の採用・定着に大きな影響を与えます。重要なファクターであり、管理職や職場のリーダーに対して繰り返し伝えている経営者の姿を拝見することがあります。


 しかし、経営者がいかに「コミュニケーション」の重要性を伝えても、職場の管理者の中には、自分から「コミュニケーション」を行うことが苦手という人が多くいます。そして苦手な人は、なかなか実行できません。


 管理者によって行動にばらつきが生じるのは、「コミュニケーション」を個人に任せて「任意」にしているからです。管理者は自分の「仕事」と認識していないので、後回しになります。今、運送会社の最大の経営課題は人手不足です。「コミュニケーション」の有無は会社の存亡に直結する重要な課題になっています。


 今後の経営管理においては「コミュニケーション」をルーティン化することが重要だと思います。ルーティン化とは、日常決まってやる仕事にするということです。管理者の日課にするということです。そのためには「コミュニケーション」を重要な仕事と位置づけ、その実行状況を業務報告の対象にしなければなりません。


 ある運送業K社は、「コミュニケーション」を最も大事にしており、業務報告の主要部分を「コミュニケーション」の実行状況に充てています。例えば、新入社員1人に対して同じ職場の3人を指導役として指名し、新入社員に対して、どのようなコミュニケーションをしたか、毎日書面で報告させています。その報告を社長が確認し、全ての報告書に社長のコメントを毎日記入しています。


 また、毎週行う管理職会議の中で管理職から新入社員の育成状況、本人の状態について報告させています。さらに新入社員と社長の面談を頻繁に繰り返し、適切なアドバイスをしています。この会社は定着率が高く、新入社員の早期退職は全くありません。社員が辞めないうえに口コミで入社する人もいるため、「人手不足の悩みはない」と言われています。


 社内で均一な「コミュニケーション」力を構築するためには、管理ツールをうまく活用して日常のルーティンワークに組み入れる工夫が必要です。仕事として当たり前に実行するようになれば、人材が定着する職場になるでしょう。


(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)

 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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