第92回:求人を意識した給与体系見直し

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第92回:求人を意識した給与体系見直し

2016年11月20日

【質問】現在、人材確保に苦心しています。求人雑誌からの応募が多少ある程度で、ハローワークやその他からは皆無です。今後はドライバー未経験者、新卒へもチャレンジしたいと考えています。わが社の給与体系は歩合給中心のため、この際、給与体系を見直すことも含めて検討中です。アドバイスをお願いします。


 「ドライバーさえいれば、仕事はいくらでもある」。最近、各地の運送業経営者からよく聞く言葉です。つい最近まで荷不足で苦労していましたが、まさに経営課題が180度転換した感があります。「採用が難しいので、今は会社の買収を考えている。仕事や車はいらないのでドライバーだけ買い取りたい」と、こんな話も聞かれるほど深刻な人材難がみられます。


 そのような背景もあり、最近、当方に寄せられる相談依頼は求人のための社内体制整備が大半です。社内体制を整備しなければ人を採用できない時代に転換してしまったのです。いくら求人広告やHPを魅力的に飾りたてても、本質的に社内を整備しなければすぐに辞めてしまいます。会社を維持するために労働条件、特に、給与体系の整備が避けて通れなくなりました。


 求人を意識した給与体系の見直しとは、求職者が求人票を見て選択肢に入れてくれる会社にするということです。求職者が会社を選ぶ理由は働きやすさ、人間関係、仕事のやりがい、将来のキャリアプランなどいくつかの要素がありますが、なんといっても給与を中心とした労働条件、特に、処遇面の要素が大きなウエイトを占めています。


 そもそも、求職者は給与のどこを見ているか。求人票の賃金欄はa...基本給、b...毎月決まって支払われる手当、c...変動する手当、に分かれています。ドライバー未経験者はa+bの毎月決まって支払われる賃金を見ているのです。経験者がcの歩合給を含めた賃金総額で判断しているのとは対照的です。


 未経験者を採用するにはa+bの欄を上げる体系変更が求められます。一方、運送業では給与に占めるインセンティブ(賃金のcの欄)が重要な要素であり、生産性やモチベーションに影響を与えます。つまり、適正なインセンティブを設定し、やる気を高めると同時に、求人票賃金欄のa+cの欄を見劣りしない体系にする必要があるのです。そのため、基本給や手当の再整理、インセンティブの設計見直しなどが必要になるのです。


 どう見直すかは会社の業務内容や勤務実態により各社ごとに異なります。その時、既存社員の給与体系まで大きく変更すると肝心の既存社員が辞めてしまうリスクがありますので、役割別選択型給与制度の導入を検討することがあります。


(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)

 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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