第90回:「結果管理」から「事前管理」に

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第90回:「結果管理」から「事前管理」に

2016年10月23日

【質問】当社は現在、一部の車両にデジタコを導入していますが、残りの車両は2㌧車を中心に運転日報で時間管理を行っています。最近、労働時間管理が厳しく問われる中、全車両へのデジタコ導入も検討していますが、望ましい時間管理の方法について教えてください。


 「長距離ドライバーの時間管理は難しい」「休憩中なのか作業中なのかを正確に把握することは困難だ」。これは時々耳にする経営者の声です。皆さんがご承知のとおり、運送業は「改善基準告示」により、運転職の拘束時間や休息期間、運転時間などの基準を細かく決められています。経営者も時間管理の必要性は理解しています。一方、基準順守の難しさを訴える声が多いのも事実です。


 拘束時間長期化の要因の一つに荷主側の事情による待機時間の長さがあることは周知の事実ですが、違反をすれば行政処分を受けるのは運送会社になります。この理不尽さを嘆く経営者の声は全国でよく聞きます。最近はデジタコを導入している会社が増えましたが、いまだに導入をためらう経営者もいます。その理由の一つはコスト面。もう一つの理由は、違反の事実が浮き彫りになる懸念があるようです。しかし、運送業界が現在抱える人材不足の課題を、将来に向けてより深刻化しないためには、労働時間の適正化に本格的に取り組むしかありません。運送業界が今後も発展を続けるために避けて通れない道です。


 そこで、今後の望ましい労働時間管理はどうすれば良いかについて回答します。結論は、今後デジタコの導入は必須です。現在、物流現場の運行管理者の仕事は複雑多岐にわたり、ドライバー全員の時間管理を細かく実施する時間が取れていません。まして運転時間を2日平均や2週間平均で、その都度、全員をチェックすることなど、ほとんどできていないのが実態です。結果として、気が付いたら月間違反件数が膨大になっていたという「結果管理」になっています。


 これを避けるためにはデジタコによる時間管理に加えて、労務管理ソフトによる自動チェック機能を使い、リアルタイムの「事前管理」に転換することが望ましいと言えます。配車を組む段階でアラームが出る管理ソフトを活用し、違反件数の拡大を未然に防ぐ体制作りが求められます。


 人が管理するのは人に対する対面での健康管理や安全管理に集中し、機械的な時間管理はソフトに任せる時代が既に到来しています。経営の効率化がもたらす効果は予想以上に絶大です。今が、従来のやり方から一歩踏み出す時だと言えるでしょう。


(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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