第9回:ドライバーから倉庫作業員への配転

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第9回:ドライバーから倉庫作業員への配転

2013年9月17日

【質問】先日、あるドライバーを倉庫作業員へ配置転換したところ、自分は運転者として採用されたはずだ、と不満を言っています。当社は保管から輸送まで一貫して請け負っており、今後も人員配置を考慮した職務の変更を行う予定です。他の運送会社では、どのように管理しているのでしょうか?


 会社は一般的に、就業規則上で配置転換命令に従う旨を記載し、従業員も勤務地が遠隔地にならない限り、職務の変更などの配転命令に自然に従います。しかし、運送会社では配転に伴う、このようなトラブルがよく発生しています。これは本人にトラックドライバーとしての強い意識があり、自分は「運転職」に応募し、採用されたとの思いがあるため、職種変更など全く予期しておらず、トラブルに発展するのです。

 一方、運送会社は運転適性がないと判明した社員を、そのまま乗務させることはできませんし、質問の会社のように人事構想で配転が必要になる場合もあります。そこでトラブルを防止するためには、まず注意すべきことが三つあります。それは、(1)就業規則の記載(2)労働契約書の記載(3)誓約書の記載です。

 (1)の就業規則については、職務や勤務地の変更など配置転換がありうる旨、および従業員はこれに従う旨の記載があることを必ず確認してください。また、就業規則の内容は周知させる必要があります。

 (2)の労働契約書には職務内容を「運転職」と記載するのではなく、例えば「運転、荷役その他関連業務」など幅広い職務内容で記載しておくと良いでしょう。もしくは他の職務への配置転換がありうる旨を明記しても結構です。

 また、(3)の誓約書では、社内規則に従う旨および職務や勤務地の変更に従う旨を記載し、本人の確認を署名で明確にしておくことが後日のトラブル回避につながります。

 このように文書に明記し、本人の確認署名を取っておくことが運送会社の労務管理において必要とされます。また採用時の面接官は、当面運転職として採用した場合であっても、職務を確定的に断言するのではなく、将来の配転についても触れ、本人に確認しておく必要があるでしょう。無用なトラブルを避けるポイントは、採用時点の留意事項にあるといえます。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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