第8回:事故発生者に対する処遇

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第8回:事故発生者に対する処遇

2013年9月 3日

【質問】当社はドライバーが事故を起こした場合、保険免責額までの範囲で本人負担と定めています。これは規定などに書いているわけではなく、採用時に口頭で説明しています。運送会社では一般的に、事故発生者に対して、どのような措置をしているのでしょうか?


 運送会社の場合、事故を起こしたドライバーに対する処遇方法は大きく3パターンがあります。(1)事故の有無を全く処遇に反映しない(2)過失がある場合のみ処遇に反映する(3)過失の有無にかかわらず処遇に反映する──の三通りです。

 (1)の場合、無事故手当などはなく、損害賠償の請求や修理代の本人負担もありません。事故を起こした社員に反省は求めるが、金銭的負担は求めない会社です。しかし、このような会社は少数派といえます。多くの運送会社は(1)のパターンで、本人に過失がある場合には処遇に何らかの反映をしています。一方、(3)の会社はコストのみに目を向けて賃金を決定している会社で、少数ですが散見されます。

 最も多い(2)のケースでは、無事故手当または類似の手当を毎月の賃金に組み込み、事故発生の翌月に反映する方法がよく見られます。事故の金額や影響度合いにより、数か月間支給対象から除外するやり方も見られます。手当額は1万円から2万円程度が最も多いようですが、賃金規定に明記していないケースもあり、注意が必要です。

 次に多いのが、損害のうち一定額を本人に請求するパターンです。質問の会社のように、保険免責額までの範囲で本人に請求するケースは比較的よく見られます。この場合、本人の生活費を考慮し、一括で請求することは少なく、分割で支払ってもらうケースが多いようです。中には修理代の自己負担上限額を定めて、その範囲で賞罰委員会が決定した金額を本人に通知し、本人の確認を得て分割で支払ってもらう会社も見られます。

 いずれのケースでも注意しなければならないのは、損害賠償を賃金で相殺することができないということです。法令に則り、労使間で規定や協定を定めるなど十分理解を得て行う必要があります。また過失で損害を被った場合、会社が本人に損害賠償を求めることは可能ですが、運送会社の裁判例では2~3割程度が限度です。過度な負担はドライバーの不安感や退社を誘発しますので、処遇への反映は無事故推進対策の一環として適当な範囲で検討するとよいでしょう。

(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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