第75回:今こそ「社員親睦会」を作ろう

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第75回:今こそ「社員親睦会」を作ろう

2016年2月14日

【質問】当社は社員数30人の運送会社です。社員の安定的な確保が当社の課題です。最近、急に辞める社員も出て、その対策に頭を悩ませています。同業者で社員親睦会を作ったと聞きましたが、どのような効果があるのか教えてください。


 最近、運送会社で社員親睦会を作る動きが出ており、「作った方が良いだろうか」という相談を受けることが増えています。「昔はあったが、自然に消滅してしまった」という会社が、改めて検討し始めたケースも見られます。なぜ、このような動きが出ているのでしょうか。


 その背景には、人手不足の深刻さとコミュニケーション不足を原因とする労使トラブルの増加があります。今、社員の確保は運送業勝ち残りの必須条件になっています。社員が辞めない会社作りのためには会社と社員の一体感が絶対に必要です。一体感を醸成するためには、社員の声に耳を傾ける具体的な場が必要であり、その場を制度として「見える化」する必要があります。


 「社員親睦会」と聞くと、一昔前の家族主義的な経営手法と感じる方がいるでしょう。しかし、社員が主体となって運営する会は、会社が上から押し付ける行事とは違い、一体感を生み出しやすいメリットがあります。社員親睦会は社員が主役であり、会社はその運営に協力し、援助する役割です。この関係が大事なのです。


 また、社員親睦会を作る目的は、単に焼き肉パーティの開催などコミュニケーションの向上を図るだけではありません。働く仲間がより良い職場にするためのアイデアを出す場にもなります。一般的に会社に対する不満や要望がある場合、水面下で反抗的な動きに発展し、突然、労使紛争に至るケースがあります。しかし、社員親睦会がうまく機能していれば、このようなトラブルに発展する前に、親睦会を通じて情報を迅速にキャッチすることができます。会社は親睦会とともに、より良い方向を検討すればよいのです。


 社員親睦会の代表幹事が結果的に労働条件などの交渉窓口である従業員代表者になることもあります。従業員代表者を会社が指名することはできません。社員間で決めてもらうことが鉄則です。親睦会の代表が自動的に従業員代表者になる取り決めは出来ませんが、結果的に全員の賛同が得られやすく、選出されているようです。社員親睦会は社員と会社の円滑なコミュニケーションを図るために役立つのです。


 なお、社員親睦会の発展形として「社員共済会」を作り、運営している会社もあります。共済会規約を定めて運営しています。この場合、永年勤続褒賞や無事故褒賞なども、この規約の中で自主運営しているケースもみられます。どのような形態をとっても、その主たる目的は同じです。最初はやりやすい形から始めることを検討されてはいかがでしょうか。


(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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