第59回:人事評価表を自社で作る方法

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第59回:人事評価表を自社で作る方法

2015年7月 7日

【質問】当社は現在、賃金を歩合給で支給しており、勤務態度などの評価は行っておりません。最近はドライバーのマナーや作業品質に対する要望が強まっているため、人事評価を採り入れたいと考えています。人事評価表を自社の実態に合わせて作るポイントを教えてください。


 人事評価表は特段定められたフォームがあるわけではなく、会社が自由に作成することができます。ただし、抑えておくべきポイントはいくつかあります。列記すると、(1)評価項目は自社が最も重視する社員行動や期待する業務成績に絞り込む(あれもこれもと入れ込まない)(2)評価項目はなるべくシンプルにする(8項目以内が目安)(3)従業員にわかりやすい表現にする(日常用語で親しみやすく)(4)客観的に把握できる数値や事象にする(デジタコデータ、燃費効率などは使いましょう)(5)イメージ評価になりやすい項目は排除する(先入観や主観で評価しないしくみが必要)、などです。


 人事評価表を自社の実態に合わせて作成する場合は、部署ごとに管理者を指名し、5~7人程度のプロジェクトチームを作る方法が一般的な進め方です。運輸部門、倉庫部門、総務経理部門、役員などから各1人を選びます。この人選は、各部門の実態を熟知していることに加えて、会社の方針をよく理解しているメンバーを集めることがポイントになります。また、忙しい業務の合間に会合を設定するので、会議は最大4回、2か月以内に完結するスケジュールで進めます。


 論議の観点は、「各部署で最も必要だと思う評価項目は何か?」です。メンバーから評価項目の候補が出そろうと、次は客観的に把握できるデータの有無を検討します。個人別の売り上げや粗利、事故の有無、修理代、燃費、遅刻欠勤の有無などは日常管理で容易に数値把握ができます。


 一方、客観的なデータ把握が比較的難しいのは、あいさつやマナー、作業態度、技量、車両管理などです。これらについても荷主アンケートを使ったり、抜き打ち洗車チェックの結果を使うなど数値化することは可能です。


 客観的にとらえる方法を徹底して論議することが成功のポイントです。事故を起こしていなくとも、安全運転を励行しているかを評価することは事故を未然に防ぐために大変重要です。デジタコの安全運転評価点を教育だけでなく、人事評価に活用するのはそのためです。運送会社の人事制度PTを指導した経験では、各現場の管理者が集まると、実に様々な意見が出てきます。


 あれも必要、これも必要と、すぐに20項目程度の評価項目が黒板に並びます。重複や類似の項目は削除していきますが、中には決して譲らない人も出てきます。例えば、「言うことを素直に聞く態度は絶対に評価に入れてほしい」など、日頃の管理者としての苦労が噴出してくるのです。その場合でも、客観的に把握する方法のある項目に絞ることが必要です。


 人事評価表は、自社の実態に合わせて、使いやすいものを作ることが大事です。スピード重視で他社の評価表を真似するのも良いですが、そのまま導入するのではなく、自社に合わせて修正することが大変重要です。例えば、評価項目の一つは自社の目標管理項目を組み入れると良いでしょう。特に個人別目標管理と組み合わせると、自ら設定した目標の達成度が評価され、従業員のやる気を高める効果が出てきます。個人別目標は運行管理者資格取得や燃費目標など様々です。


 人事評価表が出来上がったら、社内への開示手続きをしっかり行いましょう。必ず社員説明会を開き、評価制度導入の意義、評価の内容、処遇への反映方法、開始時期などを説明します。会社によっては半年程度試行期間を設けてから賃金に反映させることもあります。なお、実施前には必ず管理者全員を対象に、公正な人事評価の仕方について研修を行いましょう。


(三井住友海上経営サポートセンター長・中小企業診断士・証券アナリスト・日本物流学会会員・小山雅敬)

※本記事はこれまでに「物流ウィークリー」本紙に掲載したものです。内容は記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
 

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筆者紹介

コヤマ経営
小山 雅敬氏

小山雅敬

昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。

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